音楽や芸術、スポーツなどの分野で商品を売っていくために、時には多くの媒体や評論家を巻き込んで過大な評価が流布される事は多いが、それ自体はビジネスなので仕方がない部分もある。作品の内容とは別の問題であるのに、それを受けて過大な広告が気に入らない人たちが不必要な批判を浴びせる。その応酬で文化は傷つき、人の気持ちもすさむように思える。
僕は58歳になり、この年齢になってどうにか的外れな批判を気にせずに生きられるようになったが、今の若い人にとっては周囲の雑音に負けないで仕事をすることがとても難しい時代だ。千の賛辞の中の一つの罵倒が気になり、その中で自分の仕事を冷静に自己評価することは難しい。
職業人ならば良し悪しと好き嫌いを区切って、他者の作品や仕事への敬意を払わなければならない。度を越した評価や批判は文化自体を曇らせてしまう。
歌はひとたび世の中に出ると自分の手を離れてしまう。僕が仕事をしながら見ている先は、売れるとか売れないとかいう途中の雑音を通り越して、どこかで僕の作品を待ってくれている、見知らぬ誰かなのだ。